日時 :2025年7月20日(日)14:00~16:00(13:30開場)
会場 :武蔵野スイングホールスカイルーム(南棟10F)
JR中央線・西武多摩川線「武蔵境駅」北口下車徒歩1分
参加費:1,500円(学生500円)
受付 :先着100名(全席自由席)
【出版NPO「本をたのしもう会」からのメッセージ】
今回の講演会では、超高齢社会を迎えた私たちが直面する課題について、新著を上梓したばかりの上野千鶴子さんに語っていただきます。
人は老いて衰え、やがて依存的な存在になる。自分の思うようにならない身体を抱えたまま、わたしたちは階段を一段ずつ降りなければならない。しかし死にたくても「死ぬに死ねない」状況のなかで、わたしたちが生きていくうえで必要な「生きるための思想」とは何か。 上野さんの思想的到達点ともいうべき凝縮した思索のエッセンスを語っていただきます。
申込は、2025年6月21日(土)10時~ 本ホームページにて受付します。先着順で定員になり次第締め切らせていただきます。
【上野千鶴子さんからのメッセージ】
『第二の性』の著者、ボーヴォワールは1970年63歳の時に『老い』を書き、そのなかで「老いは文明のスキャンダルである」と言った。それから半世紀後、わたしは73歳で『老い』を読み、ボーヴォワールの問いを受け継ごうと思った。なぜわたしたちは自分が老い衰えることをこれほど忌み嫌うのか?アンチエイジングの思想は、「生涯現役」の掛け声とともに世の中に深く浸透している。だがどんな人もいつかは老いる。それから逃れるには早死にするしかない。文明が努力して手に入れた「長寿」を、「長生き地獄」と呪わなければならないのはなぜか?生き延びるためには、アンチエイジングの思想に抗する「アンチ・アンチエイジングの思想」がぜがひでも必要なのだ。ご一緒に考えたい。
【講師プロフィール】
1948年生まれ。社会学者。京都大学大学院文学研究科社会学専攻博士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授を経て、現在東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク (WAN) 理事長。
日本のフェミニズムを牽引し、弱者が弱者のままで尊重される社会の実現に向けて、オピニオンリーダーとしてまた実践家として活躍。未開拓の女性学・ジェンダー研究を、先頭に立って切り開き学問として確立。さらにそれらの実績の上に、上野社会学の新展開とも言うべき高齢者介護とケアの在り方をめぐる思想的、実践的研究を進める。
主要著書に『家父長制と資本制 ― マルクス主義フェミニズムの地平』、『近代家族の成立と終焉』(サントリー学芸賞受賞)、『ナショナリズムとジェンダー』、『差異の政治学』、『生き延びるための思想 ― ジェンダー平等の罠』、『おひとりさまの老後』、『ケアの社会学 当事者主権の福祉社会へ』、『こんな世の中に誰がした?』など多数。近著に『マイナーノートで』、『アンチ・アンチエイジングの思想――ボーヴォワール『老い』を読む』など。
中国でも20冊以上の著書が翻訳出版されベストセラーとなり、「上野千鶴子ブーム」が話題に。米国『タイム』誌は、「結婚と出産への圧力に反発する中国女性のロールモデル」になっているとして、上野さんを2024年の「世界で最も影響力のある100人」に選出している。
(みすず書房刊『アンチ・アンチエイジングの思想――ボーヴォワール『老い』を読む』内容紹介)
老いには誰も抗えない。それなのに、私たちはなぜ老いを恐れるのだろう。平均寿命が延び、老人としての生が長くなったことで、誰もが老いに直面すると同時に不安も高まっている。
自分が老いたことを認めたくないのは、社会が老いを認めないからだ。それを惨めにしているのは文明のほうなのだ。「老いは文明のスキャンダルである」――この言葉に導かれて、ボーヴォワール『老い』への探求がはじまる。
更に日本の介護の現場を考察し、ボーヴォワールのみた景色の先へと進む。認知症への恐怖、ピンピンコロリという思想、安楽死という死の権利、その裏側にある老いへの否定から見えてくるのは、弱いまま尊厳をもって生ききるための思想がぜひとも必要ということだ。
人が最後の最後まで人間らしく生きるには、徹底的な社会の変革が必要なのだ。老いて弱くなることを否定する「アンチエイジング」にアンチを唱え、老い衰え、自立を失った人間が生きる社会を構想する。恐れるのだろう。平均寿命が延び、老人としての生が長くなったことで、誰もが老いに直面すると同時に不安も高まっている。人が最後の最後まで人間らしく生きるには、徹底的な社会の変革が必要なのだ。老いて弱くなることを否定する「アンチエイジング」にアンチを唱え、老い衰え、自立を失った人間が生きる社会を構想する。
主催:出版NPO本をたのしもう会 〒180-0004 武蔵野市吉祥寺本町4-31-6-225(上林方)